小説を書くには、どこから始めればいいかわかりますか?
アイデアから?登場人物から?あるいはテーマから?どこから始めれば良いですか?
「もしも○○だったら」から物語の構成を作る方法があります。
この方法は、物語の軸、方向性を簡単に決めることができて、奇抜な発想を得ることもできます。
小説を書こうとしても、何から始めたらいいかわからない初心者でも、「もしも〇〇だったら」から物語の構成を作る方法を実践すれば、無理なく物語の構成を作ることができます。
もしも〇〇だったらから物語の構成を作る方法を実践してみた
物語の構成の形式は起承転結にする
物語の構成を、基本的な形式の「起承転結」で作っていこうと思います。私はこの形式が一番わかり易いと思うからです。
起承転結の定義は色々あると思いますが、私のような初心者の段階では単純に考えた方が良いと思います。
- 起:問題を抱える世界と主人公
- 承:問題に苦戦する主人公
- 転:主人公による驚きの逆転劇
- 結:問題が解決した後の世界
仮定の○○はあり得ないことを設定する
例えば、「もしも無人島に一人だけ取り残されたら」とか、「もしも神様が目の前に現れたら」というように、現実にはありえないことを仮定します。
「もしも新しい恋人ができたら」、「もしも給料が上がったら」などの実現可能な仮定では、あまり面白い物語を期待できません。
現実から飛躍しないからです。
最初に頭に浮かんだ「あり得ないこと」に決める
でも、「あり得ないことといっても、何を設定していいかわからない」ですよね?
この方法で迷う部分は、○○のところです。架空の設定なので、何でも自由だからです。
実現不可能なことなんて無数にあるから、一つに絞りにくいのです。
でも、何でもいいのです。
「月が爆発してなくなるとしたら」と設定した場合、月の爆発は物語のきっかけであって、月や宇宙の話にする必要はありません。
きっかけを使って、どんな物語にも展開することが可能です。例えば、月が消えてしまう前後の恋人たちの物語にもできます。
私からの提案は、最初に頭に浮かんだ「もしも〇〇だったら」に決めてみることです。
今回私の場合は、「もしもペットの糞が燃料になったら」が、最初に頭に浮かびました(^^;)
牛や馬などの家畜の糞を乾燥させて燃料にした事実はあるようで、まったく奇想天外な仮定ではありません。
目的の主眼は物語の構成を作る練習なので、今回は最初に頭に浮かんだものを採用します。
「もしも○○だったら」を起承転結のどこに置くか決める
現実にはありそうもない状況から物語を始めるのか、それとも物語の途中や最後に持っていった方が良いか、最初に決めます。
仮定の状況をどこに置いたら一番面白そうか考えます。
私は「転」のところに「もしもペットの糞が燃料になったら」を置くことにします。
従って、ペットの糞で困っている問題を、燃料にすることで解決されるという話の流れが見えてきます。
ちなみに、仮定を「起」に置いたら、よりSF的な世界の物語になるでしょう。
仮定を「転」以外に置いた場合、「転」を新たに考える必要があります。
【物語の起】
少子高齢化が進むに従って、猫や犬をペットにする家庭が増えていった。
子供に恵まれない夫婦や、子育てを終えた高齢者が、寂しさを紛らわすためにペットを求めたからである。
最も少子高齢化が進んだ日本では、ペットが増えすぎて、放し飼いの猫の糞や、飼い主の不始末の犬の糞に対する苦情が大きな社会問題になっていった。
主人公の環境大臣も国民の声を無視することができなくなった。
【物語の承】
環境大臣は、配下の官僚にペットの糞害の解決策要項を作成するように命じる。
しかし、官僚の作成した『ペット糞害対策要項』は、机上の空論的な施策ばかりで、現場では全く役に立たなかった。
次に環境大臣は有識者会議を招集して、専門家達から知恵を借りて対策案を検討してもらった。
有識者会議でまとまった対策案は、政府要人の支援企業に業務委託するものだったが、国費を無駄に投入しただけで効果は全くなかった。
国民は、税金の浪費がシステム化してしまっている政府と環境大臣に非難が集中した。
【物語の転】
環境大臣が秋田県の環境対策を視察した折、ペット愛を公表していた大臣に秋田犬が贈られた。
本当は環境大臣はペットなどに全く関心はなかったが、選挙対策としてのリップサービスで「いい犬がいたら紹介してください」などと適当なことを言っていたのが災いした。
環境大臣の家族は誰も犬の世話をしたくなかったが、中学生の長男に押し付けられた。
無理やり世話を任された長男は、餌や水を与えるだけで散歩などの世話は一切しなかった。
家族から犬小屋の回りに溜まった糞を始末するように言われた長男は、 掃除するのが面倒だった。
乾燥した糞はまるで石炭のように見えた。長男は試しに火をつけると勢いよく燃えた。
長男から話を聞いた環境大臣は、糞害の解決策を思いついた。
【物語の結】
環境大臣は全国のガソリンスタンドに、ペットの糞の回収ボックスを設けさせた。
そして、ペットの糞1キログラムに対してガソリン1リッターと交換できるというサービスが開始された。
その頃、中東情勢が悪化してガソリン価格が急騰した。
すると、なんとペットの糞の奪い合いが起こった。
中には散歩するペットの後を付けて、排便した糞を横取りする者まで現れた。
ペットの糞が、今では黄金のように輝いて見えるのだった。
めでたしめでたし(^^;)
もしも〇〇だったらから物語の構成を作る方法を実践してみた感想
- 「もしも〇〇だったら」を起承転結の「転」に置くと物語の構成が作りやすかった。
- やはり、物語の核は「転」の部分だと感じた。
- 「もしも〇〇だったら」→「転」に設定→「起」「承」「結」を考えるという物語の構成方法は、初心者には作りやすいのではと思う。