小説のプロットや構成を考えるのは難しくありませんか?
小説を書くには、登場人物とか、プロットやテーマなど、書く前に考えておくことが多くて、まだ全体の構成を作る基礎ができていない私にはとても難しく感じられます。
でも、あらすじだけに絞れば負担がとても軽くなるので難しくありません。「なぜ?」を繰り返して物語のあらすじを作る方法があります。
「なぜ?」「どうなる?」を繰り返して、あらすじを作ることができれば、小説を書く能力は向上します。あらすじは、人物や情景など、物語の世界を構成する要素を想像しながら作るからです。
「なぜ?」を繰り返して物語のあらすじを作る方法を実践してみたら、物語で何が一番重要なのかがわかりました。
なぜ?を繰り返して物語のあらすじを作る方法を実践してみた
あらすじの元、物語の出発点になる1枚の写真を用意します。
今回は、田舎の道端に脱ぎ捨てられた、男物と思われる汚れた皮のブーツの写真を選びました。
最初の疑問:どうしてブーツはこの場所に脱ぎ捨てられたのか?
私は脱ぎ捨てられたブーツの写真から、3つの答えを予想しました。次に、それぞれの予想に「なぜ?」を繰り返しました。
予想1:直ぐ近くの小川で水浴びをしているから→なぜ?
農作業で汗を沢山かいたから
戦闘で汚れている体を洗っているから
- 所属部隊からはぐれた兵士
- 脱走兵
長旅で汚れた体を洗っているから
- 宝探しの旅の途中の探検家
- 失恋の傷を癒やす旅に出た青年
- 行方不明の子供を探す父親
予想2:何者かに突然拉致されたから→なぜ?
組織を抜けて逃げる途中で捕らえられたから
- 組織の金を持ち逃げしたのがバレたから
- 新しい恋人と人生をやり直すために逃げたから
裕福なので金目当てに誘拐されたから
人違いでトラブルに巻き込まれたから
- 狙った金持ちとよく似てたから
予想3:死体は土手の下に転がっているから→なぜ?
誰かに恨みをかって殺されたから
保険金目当てに奥さんに殺されたから
悩みごとのために自殺したから
面白くなりそうなあらすじを選ぶ
予想したあらすじ全てに「なぜ?」を繰り返し続けても良いですが、私はこの段階で面白くなりそうなあらすじを1つ選んで集中することにしました。
それは次のあらすじです。
- 脱ぎ捨てられたブーツ→なぜ?
- 何者かに突然拉致されたから→なぜ?
- 人違いでトラブルに巻き込まれたから→なぜ?
- 狙った金持ちとよく似てたから
このあらすじを選んだ理由は、他のあらすじは何かの映画や小説で見たようなものばかりで、新鮮味がなかったからです。
もちろん他のあらすじも、更に「なぜ?」を繰り返していけば、予想しなかったあらすじに変わる可能性もあります。
選んだあらすじに疑問を続ける
- 脱ぎ捨てられたブーツ→なぜ?
- 何者かに突然拉致されたから→なぜ?
- 人違いでトラブルに巻き込まれたから→なぜ?
- 狙った金持ちとよく似てたから
ここまでの話の流れで、いくつかの疑問が出てきます。
拉致された人はどんな人?
他で予想した「宝探しの旅の途中の探検家」が面白そうなので、間違われて拉致される人物に設定しました。
狙われた金持ちはどんな人?
ITで急成長したベンチャー企業の創業者。
似ていたとしても、どうして間違われたのか?
似ているだけでは根拠が薄く感じられました。
金持ちと誘拐される人の出会いのタイミングなどの条件が必要だと思いました。次のような設定を考えました。
仕事に追われる金持ちは息抜きのために川釣りに訪れ、通りかかった探検家と間違われるという設定なら不自然ではないと思います。
- 脱ぎ捨てられたブーツ→なぜ?
- 何者かに突然拉致されたから→なぜ?
- 人違いでトラブルに巻き込まれたから→なぜ?
- 狙った金持ちとよく似てたから→なぜ間違えた?
- 川釣りに訪れた金持ちと通りかかた探検家を間違えたから→誰が間違えた?
あらすじに行き詰まる
ここで私はあらすじの予想に行き詰まりました。
- 拉致された探検家はどうなる?
- 金目当ての誘拐は、本人でなく家族を狙うのが普通ではないのか?
そこで、先程他の予想で出てきた「保険金目当てに奥さんに殺されたから」が目に止まりました。
奥さんを誘拐する側の人物に設定したら展開が広がるように感じました。
- 脱ぎ捨てられたブーツ→なぜ?
- 何者かに突然拉致されたから→なぜ?
- 人違いでトラブルに巻き込まれたから→なぜ間違えた?
- 狙った金持ちとよく似てたから→それにしてもなぜ?
- 川釣りに訪れた金持ちと通りかかった探検家が間違われたから。→それでもなぜ?
- 保険金殺人を考えた奥さんは他人に依頼したから→なぜ?
- 奥さんは自分の手を汚したくないし、アリバイも作りたかったから→誰に頼んだ?
- 借金をしている闇金業者に依頼→間違われた男はどうなる?
- 人違いだと訴えるが信じてもらえない→その後どうなる?
- 金持ちが釣りから帰って奥さんが驚く→それでどうなる?
- 人違いとわかった奥さんが誘拐犯に知らせる→それでどうなる?
- 誘拐犯は誘拐した探検家を開放する→それでどうなる?
- 探検家は誘拐犯の後をつけて、奥さんと接触する現場を目撃する→それでどうなる?
- 探検家は奥さんを脅迫する→それでどうなる?
- 困った奥さんはまた闇金業者に探検家殺害を頼む→それでどうなる?
- 今度は本当の金持ちの夫が殺される→それでどうなる?
- 探検家は奥さんを脅して自分が夫になりすます
あらすじがつまらない原因は?
間違いの連続で目的を果たすことになる奥さんという点は面白いかもしれませんが、あらすじ全体はつまらないと思います。
どうしてつまらないのでしょうか?
- あっと驚くような出来事がない。
- 教訓のような感動がない。
あっと驚くような出来事とは?
形勢が逆転することだと思います。いわゆる起承転結の転の働きをする部分が必要だと思います。
今回のあらすじで、善人の可能性のあるのは金持ちの夫だけで、後の探検家、奥さん、闇金業者は悪人です。
ということは、主人公の金持ちの夫は善人で、殺されそうになったけれど、驚くべき逆転があってハッピーな結末を迎えるのがオーソドックスな物語の流れです。
探検家が奥さんを脅迫するところから後のあらすじを変更してみます。
- 探検家は奥さんを脅迫すると、奥さんの方から共謀して夫を殺さないかと誘ってくる→それでどうなる?
- 何も知らずに隣で寝ている夫を、招き入れた探検家が殺そうとする→それでどうなる?
- 探検家のナイフが夫の胸を突く寸前、奥さんが探検家を突き飛ばす→なぜ?
- 夫の胸に彫ってあった妻の名前の入れ墨が目に入り、奥さんの良心に咄嗟に芽生えたから→それでどうなる?
- 裏切られた探検家は、奥さんを刺すが、飛び起きた夫にナイフを奪われ殺される→それでどうなる?
- 奥さんは、「ごめんなさい」と一言告げて息を引き取る。何も知らない夫は、奥さんが命がけで強盗から助けてくれたと思い感謝する
教訓のような感動とは?
結果的に気がついたのですが、感動は逆転の中に芽生えるのかと思いました。
夫の妻に対する愛、今回の場合は胸に入れた妻の名前の入れ墨が象徴です。
夫の愛があらすじの逆転のきっかけになりました。
「感動」を考えて「逆転」を作るのではなくて、「逆転」を考えると「感動」が生まれる、みたいに感じました。
なぜ?を繰り返して物語のあらすじを作る方法を実践してみた感想
「なぜ?」や「それからどうした?」と、疑問を続けながらあらすじを作っていくのは初めての試みなので断定はできませんが、今回に限れば「逆転」を考えるのが重要ポイントだと思いました。
あっと驚く「逆転」を作れれば、「感動」は付いてくる、を今回の結論にしたいと思います。