小説を書くことは、物語の世界を作ることです。でも、その世界を作るのが難しいですよね?
物語の世界とは、簡単に言えば一つのイメージだと思います。イメージを想像する力があれば、世界観も作れるはずです。
簡単な方法として、一枚の写真を見てイメージを想像する方法があります。イメージを想像できれば、それは小さな物語の世界と言えます。
一枚の写真から浮かんだイメージから、物語の世界観を想像する方法を実践をしてみました。想像した世界の登場人物に、いつの間にか共感を覚えました。
写真のイメージから物語の世界観を想像する方法を実践してみた
今回用意した写真は、「life」というテーマで検索した写真の中から、雰囲気のあるものを選びました。海辺で恋人たちがブランコに乗っている写真です。
写真に写っているもの自体、例えば「ブランコ」「海」「砂」など以外の、想像されるイメージを探してみます。
「貧しい恋人たち」
どうしても裕福な二人には見えません。貧しいというのは言い過ぎかもしれないので、「つつましい恋人たち」の方が合っていたかもしれません。
お金のかからない所でデートを楽しんでいるように思えました。
ゆっくりと二人の時が過ぎていくのを味わっているような後ろ姿です。
「二人の笑顔」
二人の表情は見えませんが、右側の女性が話しかけたことに、左の男性が口元を緩ませて微笑んでいるように思いました。
二人は、周りの景色よりも、静かなこの場所に、二人きりでいられる喜びを噛み締めているように感じます。
「早春の太陽」
季節は春の始めの頃、まだ日陰では肌寒い季節を想像しました。
温かい太陽はやや西の方へ周り、心地よい日差しを二人に注いでいます。
「穏やかな波の音」
太陽の光を反射した波は、穏やかに渚に打ち寄せています。
波打ち際に寄せる波の音も静かで、二人の会話ものんびりと交わされています。
「ささやかな幸福」
二人には特別な目標とか望みはありません。
ささやかな幸せが続いてくれることを願っているだけです。
「生活の光と影」
二人のシルエットと、向こうの光る海。青空と二人の影。
コントラストの強い風景は、二人の生活に安らぎと不安のあることを感じます。
「心地よい風と潮の香り」
二人の会話が途切れた時、頬に流れて行く心地よい風と、潮の香りに気が付きます。
遠くで作業をしているのは漁師なのか。二人を邪魔するものは何もありません。
「最後の日曜日」
男はガソリンスタンドで働き、女はレストランでウエイトレスをしています。二人共正社員ではありません。
こんなにのんびりできたのは初めてのことです。ギリギリの生活に追われる二人が、ここに来れるのは最後の日曜日になるかもしれません。
「遠い国への憧れ」
二人にとって海外旅行など夢のまた夢です。
ここに来ると、水平線の向こうに外国が見えるような気持ちになれるのです。
「つかの間の平和」
今は平凡ながら無事に暮らせている二人の生活ですが、このまま続いていく保証はありません。
世界のあちことで起きている紛争や戦争のように、二人の身にも襲いかかってくるのではないかと不安です。
「止まった時間」
二人の過去にはいろいろ辛いことがありました。
これからの二人にも、きっと思いもよらない危機が訪れることでしょう。
でも、今この時は時間が止まったように、余計なことは考えたくなかけがえのない時間なのです。
「まぶしく不安な未来」
二人の将来はあの海のようにキラキラ輝いていると思いたい。
でも、波の光が眩しくて目をつぶると暗闇に変わるように、すぐ隣に不幸が待っているのではないかと不安になるのです。
「私達も生きている」
広い地球の片隅にいる二人ですが、誰にも二人の声は届きませんが、大きな声で叫びたいのです。
「私達も生きている」と。
写真のイメージから物語の世界観を想像する方法を実践してみた感想
- 想像したイメージ単体も写真の中の恋人たちの世界だが、つなぎ合わせても彼らの世界ができあがるように感じた。
- 一枚の写真を素材に、ブレインストーミングをしたような作業だった。
- 写真を見た直後より、写真の中の二人への共感が増した。二人に幸あれと祈りたい(^^;)